緑豊かな柿の木坂の家に帰れば

緑豊かな柿の木坂の家に帰れば…
たくさんの木々に囲まれた柿の木坂に建つ一軒の邸宅。その緑の奥には、ゆるやかでぜいたくな時間が流れています。NPO法人に勤務し、海外や日本各地を忙しく飛び回る佐藤さんに、緑に囲まれた柿の木坂の家での暮らしぶりを聞いてみました。

アジアの山岳地域に学校を建てる仕事

佐藤さん:主にインドシナ半島のアジアの山岳少数民族のための学校建設と、教育ソフト支援、日本の学校との国際交流などの活動を行うNPO法人アジア教育友好協会に勤務。Facebookページ。

現在の仕事や今までの経歴などを教えていただけますか。

佐藤さん 今はNPO法人に勤務して、アジアに学校を建てる仕事を10年やっています。いくつかの企業で営業や経理、貿易などの仕事をしてきて、たまたま縁があってこの仕事を始めることになりました。立ち上げのときからですから、ちょうど今年10年目になります。たまたま知り合いの人が立ち上げて、一緒にやらない?と声をかけてもらって始めたんです。

どのあたりの地域で活動されているのですか?

佐藤さん 山岳地域に住む少数民族の人たちが対象で、ベトナム、タイ、ラオスがメインです。タイもベトナムも発展してきていますが、山岳地域の少数民族の人たちがいる所は、都会とは違って取り残されているような状況で。特に私たちが活動している地域はインフラも整っていないところで、海外の支援がたくさん入っています。視察に行ったら台風で学校が飛ばされちゃっていたなんていうこともあります。

一応、義務教育はあるんですが、国の予算が十分にないので、山の地域では学校を建てられないんです。そこで外国の支援が必要とされているんですね。地元の村の学校は3年生までしかない場合もあって、4~5年生は数キロ離れたところまで行かなくちゃいけない。でも、雨期も長くて年に半分ぐらい雨が降っているんですね。通いきれないから学校に行かれない、だからちゃんと村にも学校を作りたいと。ぬかるんだ道を2~3時間かけないと子どもたちは学校に行けない状態ですから、そういうところも整備しながら、また先生たちに対するサポートも入れながら、学校建設を進めています。

具体的にはどのように学校を作っていくのですか?

佐藤さん 現地のNGOと連携して進めます。彼らは、私たちの団体の条件に合ったところをピックアップしてくれます。その上で現地を視察して、最終確認をして進めていくという形ですね。学校をつくったあともフォローをしながら、ちゃんと自律運営できるようにといったサポートをします。それと、日本の学校とアジアの学校との交流プログラムを行っています。手紙のやりとりをしたり絵を描いたりというものですが、その延長で日本の子供たちがボランティア活動してお金をためて、ぜひここの学校のために使ってくださいなんていう活動に発展したこともあります。ワンコインスクールと呼んでいるんですけど、子どもたちがお手伝いとかで汗をかいてお金をためて、今まで学校を3校も建てたんですよ。

子どもたちの印象が変わっていくのが、やっぱり嬉しい

取りくみの手ごたえを感じるのは、どんなときですか?

佐藤さん ちょうど5月(2014)の終わりにベトナムへ行って、今まで建てた学校を回っていたんです。やっぱりうれしいのは、学校を建てたことがきっかけになって先生たちのやる気が上がったり、子どもたちも勉強する時間を確保できるようになったりして、ちゃんと勉強ができて自信が付いていることですね。少数民族の子たちというのは、その国の共通語が話せなくて、学年が上がっていくと気後れしたり恥ずかしがったりして、自分に自信が持てなくなってしまうことも多いんです。

自信のない子供たちが多い?

佐藤さん たとえば、おなじ地域でも少数民族の子たちにとってベトナム語は外国語なんですね。それだけでも外国語で勉強するぐらいのハンデがあるのに、生活も大変だったりして。

それが、新しい学校ができたことで、先生たちは子どもたちにもっと教育を受けさせたい、子どもたちはほんとうに勉強が面白いということになると、子どもたちの印象が変わっていくんです。外国人の私たちと会っても恥ずかしがったり気後れしていた子が、このあいだ行ったらもうほんとうに元気がよくて、質問するとみんな「はーい!」みたいな感じで、全然違うんです(笑)。先生に話を聞くと、もうこの子たちを見ればわかるでしょうみたいな答えが返ってきて。新しい学校ができるとみんなの表情が明るくなるんですね。

以前は先生も生徒も元気がなくて、お母さんたちもあんな学校へ行って、もしも壊れたら大変と心配していたのが、きれいになったら、幼稚園の弟や妹も連れて行きなさいとなったり。建てることがきっかけになって、そういう色々なものがうまくそろってくると、いい方向に回りはじめて面白いなと思いますね。先生のモチベーションが上がり、子どもたちも自信が付き、日本と交流することで世界に対して興味を持つようになったとか。学校を建設して終わっちゃうNGOもなかにはあるんですけど、私たちは交流プログラムやフォローアップがあるので、3年、5年たって学校に行ってより充実しているのを見ると、やってよかったなという感じがします。

いろいろな人と、一緒に何かをつくり上げていく面白さ

今までの仕事を辞めてNPO法人に勤務することに、迷いはなかったですか?

佐藤さん 声をかけてくださった方は、よく存じ上げている方でしたし、安心感がありました。だから、新しい仕事に挑戦できるということの方が魅力的でしたね。基本的に目先のこと、目の前にある与えられた役割を一生懸命やるという性分なので、ひとつのチャンスだと思って始めました。

会社だったら会社の仕事を、経理のときは経理の仕事をやる、今はNPOの事務所に行ってそこでの役割を果たすという考え方です。それと、日本の小学校へ行ったりアジアの現地へ行ったりして、子どもと接する仕事が好きなんです。アジアで支援を必要としている子どもや村の人、向こうで頑張っているNGOのスタッフの人とか、日本でも子どもたちや学校の先生、個人で何かをやりたいとか、支援をしたいという気持ちのある人ですとか、ほんとうにいろいろな人たちとの関わり合いの中で活動をやっているのは楽しいですね。

実は最初は、特にこの仕事だからやりがいがあるだろうとか、そういうところはあまりなかったです。でもやっぱり今こうやって10年やってくると、会社ではかかわれない人たちといろいろなプロジェクトを展開したり、みんなで一緒に何かをつくり上げていく面白さというのはありますね。

生活の楽しみというか味がありますね

シェアハウスは、どういう経緯で選ばれたのですか?

佐藤さん 最初は普通の不動産屋さんでマンションとかアパートとか見ていたんですけど、一体何がいいのかわからなくなってきたんですね。間取りとか駅から何分でというのをダーッと見ていたら、何を基準にしていいか全然わからなくなってきていて、そんなときに知り合いからシェアハウスがいいのでは?と勧められたんです。ぼちぼち見ていたらすごく素敵な物件があって、最初のところを決めたんです。たとえば、普通はこういう柿の木坂の豪邸に住むことはできないですよね。普通は経験できないようなところに住めるというのも、やっぱり魅力だと思っています。

普段は、どのような暮らしをされていますか?

佐藤さん 今のところ、他の入居者の方とはすこし生活の時間帯が違うんです。それでダイニングに交換日記のようなノートがあるんですが、それがすごい楽しいです。最初はいちいち書くの?と思ったんですけど、この少しアナログな感じが良くて。ベランダの野菜の世話をいろいろとやってくれている入居者の方がいらっしゃるので、「シソ・オクラ・枝豆を植えました」とか、そういったことを書いてますね。Facebookとかでもやっているんですが、このノートは何か味わいがあっていいですね。顔を合わせたときは、話しているとすぐ1時間とか2時間たってしまいますね。

窓を開けると全部緑なんです

シェアハウスの設備など、環境はいかがですか?

佐藤さん 昼間は忙しいので、家ではホッと静かに過ごしたいんです。だから、ここの環境はすごく合っています。私の部屋は2階なんですが、窓を開けると植え込みの向こうに公園の緑があって、もう全部緑なんです。緑が多くて静かなところで、引っ越してきたばかりの頃は、どこかの別荘にいるような気分でした。街でも家でもゆっくり過ごせて、そういう意味ではすごくぜいたくな生活をさせてもらっていますね。

毎日駅まで歩く道もお花屋さんが多かったり、街にも緑が多かったりして、歩いているだけでも、とても落ち着いた生活ができているなと思うんです。駅から歩くと15分弱なんですけど、やっぱり緑が多いので気持ちがいいんです。このあいだ仕事の帰りに近くのパーシモン公園のなかのほうを歩いていたら、満月がきれいにあがっていたのでゆっくり座って見ていられるとか、そういう落ち着きがある所なんですね。時間があるときは、駒沢公園のほうに散歩に出掛けます。駒沢通りのパン屋さん、おいしいんですよね(笑)。「試食どうぞ」なんて言われて食べると、みんなおいしいから思わず買っちゃう。成城石井に行ったついでに、パン屋さんへ寄ろうみたいな感じですね。

自分の部屋もすごく気に入っています。壁一面に大きな棚があって、カゴを置いて小物などを入れています。今の時期なら、休みの日の朝に窓をバーッと開けて空気を通したりすると、気持ちのいい空気がサーッと流れてくるんです。

家全体でも、内装に木がたくさん使われているせいか、ほんとうに「家」という感じがするんです。ひとつひとつが落ち着けるんですね。トイレでリラックスするわけではないんですけど、トイレに行っても仕上げがユニークで面白いと思えるし、洗面所に行っても水栓金具がすこし変わったものだったり、多分そういう積み重ねが豊かだなと思うところなんですよね。今まで、ゆっくり考えごとをする時は喫茶店で済ませていたんですけど、家にいても落ち着いた時間を持つことができるようになりました。

生活ひとつひとつを味わえるような人たち

最近はシェアハウスを選ぶ30〜40代の方も増えていますが、同世代としてはどう思われますか?

佐藤さん 私は、これは新しい生活のスタイルだなと思っているんです。最初の家に入居してみると同世代の人もわりと住んでいて、落ち着いている感じでした。みんな気軽に友達を呼んできて、もう友達の友達という人たちとも自然につながっていくみたいな。実際に住んでみると、1人だとやっぱりどこか緊張しているんですけど、誰かいれば少しぐらい窓を開けて寝ていても大丈夫だとか、家に帰ると電気がついている安心感とか、面白い生活スタイルだなと思うようになりました。ちょっとしたコミュニケーションがあったり、そこでまたいろいろな人と出会うとか、ほどよい距離で暮らしていける新しい生活のスタイルだなと。それぞれの考え方があると思うんですけど、私は今まで抵抗なく生活できているので、興味のある人はあまり難しく考えないで実践されたらいいかしらと思います(笑)

これから新しい入居者の方が増えると思いますが、どんな人がこの家に合うと思いますか?

佐藤さん 他の入居者さんも、落ち着いた生活をしたいということでここに決めたと聞いているんです。別にイベントか何かがあって盛り上がる家ではないんですけれど、いろいろな住み方があるなかで、そういう生活ひとつひとつを味わえたり、そういうところがいいと思えるような人なら、多分同じような感性で生活ができるかなと思います。

運営担当者が語る『SUSTIA 柿の木坂』のツボ

「SUSTIA 柿の木坂」の建つエリアは、昔から文化的な地域として知られてきました。駒沢大学をはじめ、別の場所に移転した都立大学・学芸大学などと、教育機関が非常に充実していた立地。現在も、著名な文化人が数多く居を構えている人気のエリアです。
昔から住んでいる人が多いエリアでもあり、地域のコミュニティに根ざしたシェアハウスづくりを目指しています。巨大なシェアMAPを活用し、入居者同士で近隣の情報交換ができる仕組みを作りました。周囲の飲食店とのつながりやご近所さんとの関わりなど、「SUSTIA 柿の木坂」が地域を活性化するひとつの役割を果たせれば嬉しく思います。

『SUSTIA柿の木坂』のテーマは『大人のスローライフ』。ドイツ人建築士が建てたお屋敷を、広めのお部屋のあるシェアハウスに致しました。ゆったりとした建物の中は、静かで穏やかな時間が流れてゆきます。道路から少し入り庭に囲まれているためか、小鳥の囀りが...
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