建築家の視線

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建築家が、自らのために建てた家。


建築家とは、人々の想いを汲みとり、数十年、時には数世代にまたがる暮らしを視野に空間を生み出すスペシャリストです。

日々、そうして数多くの人々の過ごす空間をつくり上げてきた建築家が、いざ自分の家を建てる。その時いったい何を思い、何を込めるのか。

どのような形であれ、なんらかの形で、ひとつの極みがそこに表現されるのではないかと思います。

三角屋根が特徴的な「Craft 竹の塚」は元々、とある建築家が自邸として設計し、過ごした住まいです。そこに込められた意図のひとつは、人々の視線の心地良い調和。

それぞれの暮らし手が日々お互いの小さな接点を楽しむと同時に、どこか落ち着きのある秩序だった距離感が生まれる。近すぎず、遠すぎず。熱しすぎず、冷たすぎず。

訪れた家のなかを歩くうち徐々に見えてきたのは、どうにもそんな、等身大の暮らし方だったのでした。


最寄り駅から歩くこと10数分。

3車線の大きな通り沿いに、ブリックタイルが映える建物が見えてきます。

2階建てで奥行きのある構造は、早くもゆったりとした内部空間を想像させます。

正面玄関はアーチを描くコンクリート塀の裏手。

迎えてくれるのは、味わいある木造の玄関ドアです。

主を守る住まいの顔にふさわしい、高級感ただよう重厚な佇まい。

ドア脇のステンドグラスも雰囲気があります。


レバーを手にとって、ゆっくりとドアを引きます。

暖かみのある幅の広い廊下が視界に滑りこみ、遮るものがない潔い一本のラインがスッと奥まで続きます。これといった装飾がなくとも、長い廊下というものはそれだけで贅沢感を感じさせるものなのですね。

玄関を上がった廊下には、高さの異なる靴箱が並んでいます。

なんだか今回はこのまま先へ進みたい気分ですが、グッと押さえて機能面を確認。

棚板の位置は調整できて、背の高いブーツもわりと収まりそうです。

背の高い扉の奥にはコート掛けのポールも。

ちょっとした外出時に羽織れるジャケットや、普段の通勤時によく着るコートなんかを掛けておくと便利そうです。

廊下の突き当りがリビング。それでは早速、足を進めたいと思います。


ドアは、曇りガラスと鉄格子の組み合わせ。

リビングの明かりがこぼれ、ホッと安心する瞬間です。

奥に広がるのは、すこし赤みがかった木の風合いが印象的な、暖かさと凛々しさをあわせ持った空間。

ソファスペース、ダイニングスペース、そして小ぶりのカフェテーブルがひとつの空間に収まっています。

ダイニングテーブル側に進むと、スッと頭上が開けた感覚を覚えます。

木目のきれいな吹き抜けの天井は、頂点に向けて鋭い傾斜を描きます。ひとつながりの空間のなかで大きく変化を見せる頭上の広がりは、結果として一見した以上の自由さと開放感を感じさせます。

思い切りの良いダイナミックな意匠は、建築家の手による作品ならではといったところでしょうか。

素材の味感を生かした今風のニュアンスとは趣の異なる、どこか懐かしさも感じさせるモダンなナチュラルテイストも、個人的には、今この時代にしてちょうど新鮮に感じます。

ダイニングテーブルを囲むのは、ハンス・ウェグナーの名作「Yチェア」。

空間のトーンにぴたりと呼応する、約束されたかのようなセレクト(実際、そうなのかもしれません)。幅広のテーブルは食事はもちろんのこと、読書やちょっとした作業にも使いやすそうです。

高い天井には、明かり取りの窓も。

日の射している時間帯には、天井近くからやわらかな陽射しが注がれます。

ダイニングテーブルの奥は、テレビとソファの置かれたリビング。

うれしいことに、リビングは全面の床暖房です(!)。

外断熱とペアガラスサッシの相乗効果もあり、窓の近くに配置されたソファに腰掛けても、冬の寒さに震えずに済みそうです。もちろんエアコンの稼働時間も少なくなるでしょうし、乾燥も防げて一石二鳥。

TVボードに差し込まれた、HANS J WEGNERの冊子はニクいメッセージ。

生涯で500種類以上の椅子をデザインしたウェグナー。北欧デザインを代表する存在でありながら、どこか日本的にも感じさせるその作風は、たしかにこの家の空間によく似合いそうです。

窓側から見るリビング・ダイニングはこんな感じ。

ダイナミックさが伝わるでしょうか。

改めて見ても、レトロとモダンが重なる中心点にあるような佇まいは、シックに倒れ過ぎないとても大人っぽい雰囲気です。

大きな窓からは庭に出ることができます。

コンパクトなスペースですが、椿、梅、山茶花など、鮮やかな花を咲かせる日本的な風景が収まっています。柿の木もあるそうで、旬の季節には多くの実がなるんだとか。


小ぶりなカフェテーブルには、ハイチェアが2脚。

さて、建築家であるオーナーが特にこだわったのは、住まい手となる人々の視線だそうです。

例えば、キッチンとソファ。

お互いが常に向き合い視線が重なるレイアウトは、たとえそれが家族だとしてもずいぶんと疲弊するのだそうです。それほど視線というものは、強い力を持つのだとか。いわゆる目ヂカラってやつでしょうか。ちょっと違う気もしますが。

そこで例えば、ソファの向きを変えるだけで空間が一変します。人の気配をなんとなく感じられる程度にほどよくデザインされた距離感は、今度はそれ自体がリラックスした居心地の良さを生み出します。

様々な家族のために数多くの住宅を生み出してきたオーナーが一番に配慮したのは、まさにこの視線というもののデザインなのだそうです。

今回のシェアハウスでもリビング・ダイニングに3つのコーナーを設けていますが、それぞれはきちんと異なる方向を向いています。

個人の領域を大切にするデザインの意図は、セミパブリックなスペースでもよく機能してくれるのではないでしょうか。

テーブルの脇には、腰高の収納が用意されています。

ここには、それぞれのちょっとした私物なんかを入れておくと良さそうです。


ふと窓の方に視線を転じると、屋外の明るい空間が目に飛び込んできます。

大きな窓は、断熱性の高いペアガラスの仕様です。

ガラリと開けた先は、ウッディなパーゴラとブリックタイルに囲まれた開放感抜群のテラス。

リビングとつながっていて、日常の使い勝手も良さそうです。

パーゴラの目隠し効果に加え柵の向こうは私道ということで、人通りを気にする場面はほとんど無いはず。

紅茶を片手におしゃべりを楽しんだり、ゆったりと読書に集中したり。ソファスペースに次ぐ、快適なリラックス・スポットと言えそうです。


続いてリビングに面したキッチンへ。

入口はアーチを描いたかわいらしいデザインです。

中を覗くとキッチンはI型の設計。

2口設けられたシンクの水栓など、かなり本格的な設備を備えます。ちなみに奥のドアは勝手口です。

いたる所に作り付けられた収納もかなりの容量。

棚板の高さは異なりますが、専有部ごとにスペースを案配よく仕分ければ、とても便利そうです。

キッチンから見ると、リビングはこんな感じ。

ハードなガスレンジには、力強さがみなぎっているような。

迫力に促されるように、思わず点火。

たとえ火力が仕上がりを決める本格中華料理であっても、これなら難なくこなせそうです。 オーブンレンジも本格仕様で、料理好きにとってはこの上ない設備。

ちなみに建築当時、本格的な料理への取り組みに熱をあげていたオーナーの希望で備えられたものの、あれこれしているうちに今日まで使ったことが無く、ほぼ新品に近い状態とのこと。いやいや、よくぞ備えておいてくれました。

本格的な食洗機もビルトイン。

こちらは勝手口の外の様子。

物干しスペースも兼ねています。


水まわりはキッチンの近くにまとまっています。

洗面台の脇の木の扉は、トイレです。

そしてバスルームは、洗面台の向かいに。

身だしなみをきっちり整えるのに、幅広の鏡も好ポイント。

壁には、歯磨きなどの洗面用具を置ける棚が設けられています。

トイレはウォシュレット付きです。

脱衣室にも、部屋ごとにバス用品を収納できるスペースが用意されています。

各所に収納が設けられていることで、専有部から持ちだす手間もなく、用事もその場で完結。日々の暮らしがスムーズになります。

続いてバスルームですが、なんと浴槽が2つ設置されています。

普段見かけることのないとても珍しいスタイル。

とりあえず楽しそうではあります。はい。

トレーに乗せて、ワインでも持ち込んでみたら良いような気もします。


さて、それでは専有部へ。

各部屋はそれぞれテイストも広さも異なり、選ぶ楽しさがあります。

まずは玄関脇に位置する、101号室。淡い色合いがとてもやさしい印象です。

壁の一面はブリックタイル風の壁紙。可愛らしい雰囲気に仕上がっています。

収納は特に設けられていませんが、四角いシンプルな間取りは自分色に染めやすい空間とも言えそう。

窓の外は通りに面しています。念のため。


102号室は趣きのある和室の空間に、ひときわ際立つ収納がでんと構えています。

壁にぴたりと収まった豪華な箪笥は、鎌倉彫りと言うそう。 元々はオーナーのご両親のものだそうですが、和室の情緒をより楽しんでもらえるよう、そのまま残したのだとか。

実際に和家具を使う機会は、特に単身者のひとり暮らしではあまりないはず。贅沢です。

もちろん、収納としての容量もたっぷり。

とは言いつつも、振り向けばこちらにも収納が。それも壁一面。

和室ですから、個人的には寝具は敷布団がベスト。ネックになるのは収納場所ですが、このボリューム感なら心配いらないでしょう。

これぞ!という人にキリッと住みこなして頂きたいですね。


103号室は、テラスに面した専有部。

リビングと同じフローリングに、アッシュブラウンの壁紙を合わせたシックな空間。さらに、スペースを有効に使うための味方がこのクローゼット。

ドカンと大容量です。基本的に全室、収納は豊富に設けられています。

大きな窓からは共用のテラスに出られます。

レースのカーテンを閉めることで見通しの案配を多少は制限できますが、ここはあまり細かいことを気にしないタイプの方に入居して頂くのがベターかと。

何よりも開けた時の開放感は、やはり抜群。


続いて2Fへ。

コの字の階段を上がっていきます。

2Fに上がると、階段の両脇にトイレと洗面台が設けられています。

左手の廊下には、専有部が並びます。

洗面ボウルを囲む天板は、赤みを帯びた落ち着いた仕上げ。

個性的なタオルホルダーは、スペインで購入したものだとか。

トイレはスタンダードなタイプで、ウォシュレット付きです。


2名での入居も可能な203号室は、すこし個性的。

2部屋がつながった間取りで、シーンによって使い分けることができます。

ただし、基本的に奥の部屋は収納という立ち位置。

とは言え、寝室としても使えそうなほどスペースは広め。単に物を置く以外にも、いろいろと使い道がありそうで魅力的です。

掃き出し窓からベランダに出られます。

こちらはベランダから見た外の景色。

日当たりが良く、グリーンの日光浴にもちょうど良さそうです。


ラストは204号室。

窓向きは、東、南、西と3面ある間取り。いつでも太陽が身近です。

部屋は2段構成で、梯子を上った先は収納用のロフト。

こちらも大きなサイズで、いろいろなシーンに活用できそうです。でも、安全面を考えて基本的な使い方は収納でどうぞ、とのこと。それ以外の用途はくれぐれも自己責任で。

例え収納に限ってみても、持ち物の多さから収納面でシェアハウスへの入居を断念していたような方にとっては、待ちに待った部屋かもしれません。


自転車置場は、玄関を出て左手に設けられています。

駅まで自転車が使えると、日々の通勤はより便利かと思います。


シェアハウスの最寄り駅は、新しい名称も馴染んできた東武スカイツリーライン竹ノ塚駅です。

直通している日比谷線を使えば上野まで20分、大手町まで22分、秋葉原まで23分と、各ターミナル駅までのアクセスはほどよい感じです。

物件のすぐ近くにもスーパーはありますが、メインは駅周辺。大手スーパーやディスカウントショップが連なり、さらに駅前の商店街でも基本的な生活用品が手に入ります。

帰りがけ、駅前で買い物してから帰宅するのが定番のスタイルになりそうですね。


Craft 竹の塚」を運営管理するのは株式会社クラフトさん。

この物件を設計された建築家のオーナーさん、ご本人です。

シェアハウスの運営は今回がはじめてとのことですが、準備には、これまで一般家庭向けの住宅を数多く生み出してきた経験やノウハウを込めたそう。暮らしや空間を語る姿は情熱的でもありますが、プライドが高く気難しい建築家肌というよりは、割と気さくなタイプの方のよう。

人が集う場所でありながら、プライベートな居場所を作る。数十年、暮らしを共にする家族の住まいと向き合い吸収してきた経験値は、シェアハウスへの応用範囲も広いはず。

肩肘を張らない、居心地の良い建築家の住まい。

興味がある方はコチラからお問合せを。


これからの話。

自分自身も家族を持ち、人生うまく行けば家を建てることだってあるかもしれません。

そんなとき、いろいろな住まい方・暮らし方を体験できるシェアハウスでの日々というのは、けっこう替えがたい経験に化けるポテンシャルを秘めていそうな気がします。

(ソン)

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